★夏休み
「ただいまー!」
あと1日で夏休みになる為
娘が3時間だけで小学校から帰宅した
「お昼ごはん何?」
「そうめんにしようか?」
「うん いいね!」
僕がそうめんを作っている間
「暑いーっ!」といって扇風機の
スイッチを入れると
娘が床に寝転んだ
とても暑い日だった
子供の頃、夏休みは楽しみだった
夏休みの宿題もせずに
友達や近所のお兄ちゃんたちと
山や海をくそ暑い中走り回っていた
汗だくで家に帰ると
お袋がエメロンシャンプーで頭を洗ってくれた
汚れた服は、金銀パールプレゼントと書かれた
ブルーダイヤのでかい箱の奴で洗ってくれた
昔の洗剤の箱は何であんなにでかかったんだろう?
昼ごはんにインスタントラーメンが出ると
テンションが上がったものだ
夏の夜には蚊が多いためか
殺虫剤らしきものを噴射しながら
町中を走る軽トラックがあって
子供達がその後を追いかけて走っていた
今思えば誰かひっくり返ってもおかしくはない
余談だが沖縄では殺虫剤で
ピレトリンというアメリカ製の殺虫剤があって
これが抜群に効くのだ
見た目も使用してはいけないのではないかと
思わせるようなルックスだが
うちのお袋も「これが一番効くさー」と言って
いつも使っていたっけ
夏休みの朝にはラジオ体操で
眠い顔にスタンプカードをぶら下げて
参加するたびにハンコを押してもらった
駄菓子を買ったり友達と走り回って
大騒ぎした祭りの夜
公民館に来た移動の映画館に
手に汗にぎり興奮した
お袋に買い物を頼まれ店に行くと
今と違ってビニールでなく
茶色の丈夫な紙袋に入れてくれたのだが
その匂いが変に好きだった
その袋を両手で抱えて家にもどる途中
夕暮れに畑の雑草を焼く匂いがあたりに広がり
白い煙が空に上っていくの眺めていた
どこかの家から夕食を準備する香りと
ラジオから流れてくる沖縄民謡が聞こえていた
ケンカの後に泣いていた友達と
一緒に帰った畑のあぜ道
はなをが抜けてしまった島ぞうり
今でも子供の頃の夏休みを覚えている
バカバカしいかもしれないのだが
子供だった自分が今こうして
娘と迎える夏休みが不思議な気がするのだ
娘とそうめんを食べながら
「夏休み 楽しみだな」と僕は言った
娘が学校から持ち帰ったひまわりが
ベランダで風に揺れていた。
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