チャーリー多幸寿(タコス)

★ニヌファ

2013年10月24日 19:34





コザ(沖縄市)のパークアベニューにある


チャーリー多幸寿は沖縄に帰ると


最低三回はいくほど好きな店だ


ここで食べるビーフタコスと


オリオンビールの組み合わせは最高だ


横浜や東京でもタコスは食べるが


やはりチャーリー多幸寿は別格だ


僕はここよりうまいタコスを食べたことがない


横浜の友人たちにも紹介したが


全員チャーリーの虜になってしまった


ぼくは面倒くさいグルメではないが


ただ愛着がわく味があると思う


僕の横浜の友人が言った言葉だが


「ここ以上に美味しいタコスは無いよね


もしあったとしても行かないけどね


チャーリーが好きだから」


この言葉につきると思う


チャーリー多幸寿は創業1956年の老舗タコス店だ


Aサインのレストランとして


スタートしたと聞いている


Aサインとは米軍による衛生基準に


合格した業者に与えられた


Aサインの「A」は「Approved(許可済)」の頭文字だ


店内もまるで日本とは思えない


ハワイのローカルな店かと


思ってしまうほどのたたずまいだ


特におしゃれなものがあるわけでもない


客も沖縄市という事で米軍基地がある為


外国人も多いのでなおさらそう感じられる


天井のステンドガラスには


「メキシコ生まれ沖縄育ち」と書いてある


僕はカウンターに行くと


タコスとオリオンビールを注文した


カウンターにもたれて店内を見渡すと


昼時をずいぶん過ぎていたからか


僕を入れて四組ほどの客しかいなかった


のんびりとした地元ならではの時間が流れていた


ビーフタコスとオリオンビールを


いつも最初に注文するのが決まりだ


というかそれしか注文しない


以前はほかの物も注文した事もあったのだが


沖縄を離れなかなか来れなくなってからは


タコスとビールしか頼まなくなった


一番好きな物を腹いっぱい食べたいからだ


タコスに絶品のサルサソースを


たっぷりとかけ食べるのが最高だ


このサルサソースがまたたまらないのだ


店内には迷彩服姿のアメリカ兵が2人と


アメリカ人とフィリピン人らしき


子連れの母親たちがいた


子供がオモチャを投げ出して


フィリピン人らしきお母さんに怒られた


それを眺めているとその母親と目があった


母親が笑顔で肩をすくめて見せた


ぼくも思わず微笑んだ


そのなにげないやり取りが


なんだかたまらなくいいのだ


穏やかな午後の店内での 


日本なのか外国なのか


よく分からない空間で


何もないけど特別に思える時間


僕は3杯目のオリオンビールを注文した


昔と違い寂しくなったパークアベニューで


なぜだかチャーリー多幸寿の店構えは


今のパークアベニューにしっくりくる感じがする


チャーリー多幸寿は現在では


本店以外に他の店舗もあるのだが


他の店舗では味も微妙に違うし


なにより本店の雰囲気が僕は好きだ


タコスでベタベタになった指を


紙ナプキンで拭くと


グラスに残ったビールを飲みほした


店内の子連れの母親たちに手をふり


僕は店の外へと出た


まだ日差しが強かった


今度沖縄に帰れるのはいつだろう


閑散としたパークアベニューをしばらく歩くと


僕は振り返りチャーリー多幸寿に


遠くから別れを告げた








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