★卒園式
先日、娘の卒園式があった
時が過ぎるのは早いものだ
嫁と娘と三人で手をつなぎ
歩きなれた保育園への坂道を歩いた
正直 卒園出来て嬉しいという気持ちより
寂しい気持ちの方が大きかった
今の保育園も同じクラスの園児達も
そしてその親たちも好きだったからだ
卒園すればみんなバラバラの
小学校に入学することになる
娘と同じ小学校に入学するのは
今の保育園からは娘を入れて三人だけだ
それがなんだか寂しくてしょうがないのだ
卒園式の紺のジャケットと
チェックのスカートを着て
娘ははしゃいでいた
保育園に到着すると
娘は式の準備の為に教室に入り
親はフロアーに集まり
担任の先生と保育園での
今までの思い出や成長を語っていた
目に涙を浮かべて語る親も少なくなかった
子供を持つようになると
以前は当たり前に思えていた事が
特別で大切な事に感じられる
何かの区切りや旅行や誕生日や発表会
卒園式や入学式などはなおさら特別だ
娘のこれまでの努力や成長
親の葛藤や迷い
娘と過ごしてきたこれまでの日々
それだけで熱くなってしまうものだ
式が始まり子供たちの歌や
来賓の挨拶などがあった
そして子供たち一人一人が
両親に宛てた手紙を読んだ
自分の子供の番になると
その両親が席から立ち上がり
子供の読む手紙を聞いた
娘の番になり僕たちは立ち上がった
「パパ いつも絵本読んでくれてありがとう
ママ いつもごはん作ってくれてありがとう」と
手紙を読むと娘がぺこりとお辞儀をした
そして将来の夢を子供たちが発表した
「僕は 野球の選手になりたいです」
「私はアイドルになりたいです」
「私はせんべい屋さんになりたいです
なぜならお煎餅がすきだからです」という
微笑んでしまう夢を語る女の子もいた
娘は一番最後だった
「私の夢は 宇宙警備隊に入って
ウルトラマンになってみんなを守りたいです」と
娘が言うと会場がどっと湧いた
僕は壇上の娘にこぶしを上げ
やったぞ!との合図を送った
突拍子もない夢だが
子供らしいというよりもなによりも
夢という言葉にふさわしかった
僕はその夢を語る娘が誇らしかった
壇上の娘が笑顔で僕に手をふった
式の後の懇談会で
これまでの園での生活を撮ったビデオが流された
誰かが映るたびに子供たちが
映った者の名前を叫び大声で笑った
親の知らなかった
園での日々がそこに映っていた
顔見知りの子達がよちよち歩きだったのが
かけっこやプールではしゃぐようになり
みんなで料理をしたり
跳び箱が飛べるようになったりと
子供たちが成長していく日々の姿が
映画の早回しのように映し出されていた
その映像をみていると
何とも言えない気持ちになり
僕は泣きそうになった
まわりで何人もの親たちが泣いていた
自分の子供の事だけでなく
このクラスの子達の成長が
映し出されたその映像は
とても感慨深いものだ
その晩は、親と子供たちの食事会だった
子供も親もとても楽しい食事会だった
夕方5時から飲み始め
帰宅したのは夜の10時を過ぎていた
娘が楽しかったと帰りのバスで
何度も何度も僕に言った
保育園での子供の成長を
他の親達と話をしたが
保育園では子供だけでなく
悩み 迷いながら親も成長するものだ
バスの窓に写った娘の顔を見ながら
僕はそう感じていた。
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