★WINDOW

★ニヌファ

2012年04月28日 19:15



















仕事の帰り道によく通る


ファミレスがある


普通のファミレスよりほんのちょっと


値段が高いファミレスなのだが


そのファミレスの窓から見える


食事をする人たちを見るのが僕は好きだ


夜 仕事を終えその店の前を通ると


暖かな明かりの中


色々な人たちが食事をしている


家族やカップル 年配の夫婦 友人同士


笑っている人 見つめあっているカップル


静かに食事をしている人 もりもり食べている人


コーヒーを手にまったりしている人


僕もその店で食事をしたことは何度もあるが


外から通りすがりに見る方が好きだ


なんだか幸せな気持ちになる


食べているのを見るのが幸せなんて


その店のシェフでもないのに


おかしな話なのだが


僕が子供の頃は 買い物をし


家族でレストランに行く事は


一大イベントだった


メニューを見せながらオヤジが


好きなものを頼めと言ったが


僕は自分が食べたいものでなく


一番安いもののひとつ上の物を頼んだ


一番安い物を選べばなんだかわざとらしいが


その一つ上なら子供の気遣いも


親に感づかれないのではとの


子供ながらの考えからだった


今の子はレストランで好きな物を


特に思うことなく注文するだろう


僕にはそれはできなかった


好きなものを言えば


それを注文してくれただろう


貧乏だったわけではないが


レストランに来て食事をするという事は


やはり贅沢な事だという意識があった


そこに連れてきてもらったのに


値段を気にせず食べたいものを


注文することは親の財布を考えると


とても僕にはできなかったのだ


レストランで全部食べられなかった場合は


お店の人に頼んで入れ物に入れてもらい


家に持ち帰るのは当たり前の時代だった


今のように残して帰ることなどなかった


昔が良くて今が悪いとか


そういう話をしたいわけではない


それほど特別な事だったという事だ


子供の頃のそういう思いがあるからか


友人たちと飲みに行ったり


普通の店に入るときは感じないのだが


家族でファミレスに行くと


子供の頃を思い出し


特別な事のような気がしてしまう


さすがに今は自分の食べたいものを頼むが


家族で食事に行くという事は


あたり前でなく 特別で幸せな時間だと


感じる時がある


食事を終えコーヒーを片手に


窓の外を眺めながらそう思う


僕がよく通るそのファミレスも


そんな特別な時間を過ごしている人たちを


眺められるから好きなのだと思う


暖かな明かりの中で食事をする人々を


眺めることが出来るその店の窓に


僕は子供の頃の自分の姿を


見ているのかもしれない











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