★ 灯

★ニヌファ

2009年10月18日 10:47

















僕は 一人暮らしが長かった



高校を卒業し 大学に通う頃から一人暮らしを始め



嫁と結婚する35~6歳まで一人暮らしだった



世間一般に 付き合った子も何人かいたが



一緒に暮らすことはなかった



一人暮らしの気楽さは それなりに楽しかった



縛られるものも無く 何時に帰ろうと



どこに泊ろうと 誰にも文句を言われない



なんの不自由もなく暮らしていた



今の嫁と出会ったのは 僕がスポーツクラブで



インストラクターをしていた時だ



嫁がフロントで入って来た



嫁の僕の最初の印象は最悪だったらしい(笑)



厳しいスポーツクラブだったので



入ってもすぐ辞める人間が多かったので



嫁もすぐ辞めるのだと思い



挨拶もそこそこにしたのが原因だったらしい



嫁と結婚した頃は 仕事も変わっていた



2人で暮らし始めた頃はケンカがたえなかった



自由気ままに暮らしてきた僕と



一人暮らしをしたことも無く 



ずっと実家で暮らしてきた嫁では



色々 違いが多かったのだろう



2人での暮らしも慣れ ニヌファが我が家に来て



琉美も生まれ 家族が増えた



介護の仕事をしていた 僕は



仕事の疲れや ストレスで



時には へこんで帰ることも多かった



夜 疲れた体で家路につくとき感じるのは



多くの明かりが 灯されている家々には



同じ灯りのように見えるが



そこに住む者によって 



違ってくると 思える事だ



帰りたくもない家で 冷たく感じる灯りや



彼女が待っていて 飛んで帰りたくなる灯り



家族が多く 騒がしくもにぎやかな灯り



高齢者の夫婦だけで暮らす 静かな灯り



多くの灯りの数だけ そこに暮らしがある



多くの家と同じように 



我が家にも明かりが灯っている



あの灯りの中に 嫁とニヌファと琉美がいる



あの暖かな灯りは 僕の帰る場所だ



僕がいてもいなくても 世の中は気にもしないが



あの灯りの中には 僕の帰りを待ってくれている人がいる



僕でなければ いけないと思ってくれる人がいる



尻尾を振りながら 飛び出してくる



ニヌファはもういないが



「パパ お帰り!」と言ってくれる娘と



笑顔で 迎えてくれる嫁がいる



一人暮らしの頃に比べて 不自由だし



うるさいし 一人の時間なんかない



でも 家に着くと明かりが灯っていて



僕を待っていてくれる灯りがある



僕を必要としてくれる



僕の帰るべき唯一の灯りが



それは 家族と言う名の あの灯りだ

関連記事