★ステーキハウスの夜は明けて

★ニヌファ

2009年09月18日 09:59



























僕は沖縄の伊良部島という所で生まれた



小学生まで伊良部島で 中学で隣の宮古島に移った



その後沖縄本島で一人暮らしをはじめ



それから大学に行く話がもちあがり横浜に移り住んだ



伊良部島のときから ジュンちゃんという幼なじみがいた



ジュンちゃんは僕の引越しで中学時代会えなくなるのだが



高校でまた一緒になった



高校の時、ジュンちゃんは不良と呼ばれる生徒の一人で



授業中先生と喧嘩して 教室を飛び出していく事がよくあり



そのたびに先生が僕に ジュンちゃんを連れてくるように頼んだ



そんなジュンちゃんが 沖縄で一人暮らしをしていた頃尋ねてきた



「俺 今オカマバーで働いてるんだ!」



唐突にそう告げた後 僕の驚愕の顔に慌てて



「違う違う!オカマじゃないよ バーテンで働いているんだ」と言って笑った



これは その時ジュンちゃんが話してくれたことなのだが



お店が終わる朝方 よくそのオカマバーのママだかパパだかが



ジュンちゃんやオカマのホステスさんやら連れて



ご飯を食べに連れてってくれたらしい



その日は「お肉 食べたくな~いぃぃん! 」と言う



やはりママだかパパだかの一声で



ステーキハウスに行く事になった



沖縄ではステーキハウスが平気で朝までやってたりるするのだ



人もまばらな明け方のステーキハウスで



そのオカマ軍団はテーブルを陣取ると



「ママー あたし300グラムのステーキが食べた~いの~ん!」



と食欲も欲望も旺盛なところを見せた



料理を食べながらワイワイ盛り上がっていたとき



ママだかパパだかがフォークを



テーブルから落してしまった



「すいませ~ん フォークぅ~落しちゃった~ 



新しいのちょ~だ~いぃん!」



と厨房にむかって叫んだ



人間朝まで働くのは疲れるものだ 



しかももうすぐ仕事が終わるというのに



オカマがテーブルで「いや~ん」やら「いけず~ぅ」やらで盛り上がっていると



イライラしてしまうのだろう



厨房のオヤジが店員に「オカマがフォーク持ってこいってよ」と言ったのだが



どっこい厨房はやけに声が響くのと 予想外にオヤジの声が大きかった事もあり



オカマ軍団の耳に届いてしまった



「チョッとー! オカマの何が悪いのよー! ジョーダンじゃないわよ!えー!」



とママだかパパだかが 切れ始めた



厨房のオヤジも疲れとイライラで「うるせーよ このオカマ野郎!」と



なかばやけくそで怒鳴り返し 両者の間をスプーンやら皿やらが飛び交った



元男対現男のワールドワイドな戦いが勃発した



オカマバーのママも 完全にパパになっていた



この凄惨を極める戦いの真っ只中 爆心地グランドゼロにジュンちゃんはいた



いつもお世話になってるママだかパパだかの手前 爆笑するわけにもいかず



かといって朝方のステーキハウスでのオカマと



料理人の対決はあまりにも面白すぎる



ジュンちゃんはうつむいて 自分の太ももをつねり



必死で笑いをこらえ 涙を流しながら耐えたらしいのだ



その後ママだかパパだかも ジュンちゃんの涙に



「あたし達 オカマのために泣いてくれた!」 という



勘違いな美談で幕をとじたらしい



「これ その時つねってたとこ すげーアザになってるだろ?」



そう言ってズボンをめくると



ニヤニヤしながらジュンちゃんが



その名誉のアザをぼくに見せてくれた

関連記事