2016年05月14日
★うまいCoffee

最近、うまいコーヒーを飲んだことがあるだろうか?
僕は先日、ここ何年かで一番うまいコーヒーを飲んだ
有野君(仮名)が僕の働く介護施設に
夜勤スタッフとして来たのは昨年の12月頃だ
小柄で顔も童顔だったので
僕に小学生みたいだとよくからかわれた
歳は29歳で9歳年上の嫁さんと結婚していて
奥さんは再婚で二人の子供がおり
有野君との間には2歳の子がいる
おとなしくてまじめな性格だ
僕は今の施設で働いて6年になるが
ホーム長が変わり主任が変わり
以前のアットホームな施設ではなくなった
仲間たちもほとんどが辞めてしまい
僕も5月10日で辞めることにした
今施設で働いているのは
ほとんどが新しいスタッフ達だ
僕が辞めることを聞きつけた
夜勤明けの有野君が挨拶に来てくれた
夜勤専任の有野君は他のスタッフとも
なかなか話す機会がなく
コミニケーションが取れないと言った
「ニヌファさんはよく声をかけてくれて
一緒のシフトの時は本当に安心できました」と言ってくれた
二人で互いの子供の事を話したりした
「僕の稼ぎなんかじゃいい学校行かせてやれないですよ
保険とか払うお金もないし 3人の子供育てるのは大変ですね…」
職員は300円で施設の食事を食べることができる
昼食時、有野君はタッパーにごはんを入れてきて
レトルトのカレーをかけて食べていた
僕と一緒に昼食をとる時 いつもそうだった
レトルトのカレーなら100円で済む
有野君の所は大変なんだなと
僕はそう思っていた。
「ニヌファさんだから言いますが
僕もこの施設 辞めようと思っているんです」と
有野君が言った。
会社側の経営難から職員に負担が大きく
それが辞めていく人たちの原因の一つにもなっていた
嫁さんとも話をして決めたのだと言った
「有野君の体が一番だからさ
そう決めたんならそれでいいんじゃないかな
きっといい所があるからさ」と僕は言った
「ニヌファさん いなくなると僕本当に辛いです
今までありがとうございました」と言って
ジョージアの缶コーヒーを僕に渡して去って行った
昼食のお金をうかせるために
いつも同じレトルトのカレーを食べている有野君が
僕に渡してくれた缶コーヒーを
もったいなくてしばらく眺めていた
そしてプルトップを開けコーヒーを飲んだ
とても温かくて心にしみわたった
それは今まで僕が飲んだ
どんなコーヒーよりも
美味しいコーヒーだった
Posted by ★ニヌファ at 08:55│Comments(0)
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