2014年02月09日
★1人ぼっちの昼食

会社で昼食をとる時
あまり使われていない小さな部屋があり
そこで僕は1人で取るようになった
元々はお昼休みに昼寝をしたいと思い
その部屋を使うようになったのだが
お昼に1人でその部屋で過ごす時間が
僕には大切になってきた
自分で言うのもなにか変だが
僕は会社では冗談ばかり言う
明るいキャラクターだ
職場の仲間にも「ニヌファさんはどこに行っても
誰とでも友達になれますね」と言われる
会社の仲間達はいい奴ばかりだし
みんなでワイワイ食事するのは好きだが
ただお昼のその時間は誰とも喋らず
1人で食事をしボーッとしたり
20分ほど昼寝をしたりして
少しリセットしたくなるのだ
以前 スポーツクラブで働いていた時
入社したての僕と入れ違いに
辞めた社員の人がいて
その人は上の人間と仲が悪かったが
スタッフから信頼されていた人だった
入社したての僕はスタッフから見ると
会社側の人間と取られたのかもしれない
朝「おはようございます」と
声をかけても返事もされない
昼食時に休憩室に行くと
ドアを開けるまではみんなが
ワイワイ話しているのが聞こえていたのに
僕がドアを開けるとシーンとしてしまう
そんな事がしょっちゅうだった
せめて食事の時だけは
誰にも気を使いたくないと
普段は誰も来ない屋上で
1人で食事をとるようになった
近くを走る列車や商業ビルが屋上から見えた
心地いい午後の風に吹かれながら
1人で弁当を食べ終えると
寝転がって空を見上げて過ごした
この嫌な状況もめんどくさい人間関係も
青い空は何も気にしない
ただどこまでも高く青く広がっているだけだ
空から見れば僕の悩みなど取るに足らない
小さなつまらない事かもしれない
その小さなつまらない事で
振り回され悩みあがいているのが僕達だ
その小さなつまらない事で
ふさぎ込んだり体調を悪くしたり
おかしくもなってしまう
「くそくらえだ」僕は寝ころんだまま
空を見上げてつぶやいた
僕の言葉が青い空にとけては
吸い込まれていった
電車がガタンガタンと音をたてて
走り抜けていく音が聞こえた
僕がスタッフの信頼を得ることが出来たのは
それから二年が経ってからの事だ
以前がまるで嘘のように仲良くなり
飲み会にはスタッフ全員が参加するようになり
仕事の悩みやほかの事でも
僕に相談してくれるようになった
その3~4年後にスポーツクラブは
オーナーの多角経営の失敗で倒産した
僕が1人で空を見上げていた建物も
今ではマンションになってしまった
いい仲間に恵まれた今の会社で
1人で過ごす昼休みの時間と
以前の屋上で過ごしていた昼休みでは
同じ1人でもまったく違うものだが
あの屋上で1人で過ごした時間は
僕には大切な時間だった
あの時間が無ければ僕は
乗り越えられなかったかもしれないからだ
あの時の午後のおだやかな風と
一人ぼっちで食べた弁当と
青い空につぶやいた言葉が
今ではとても良い思い出だ
Posted by ★ニヌファ at 19:44│Comments(0)
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