2010年02月01日
★ 秘密の場所

子供の頃の話しだ
家から20分ほどの林に 一人で出かけた
拾った木の枝を振りまわしながら
林の中を散策していると とてもいい場所を発見した
茂みの中に 直径2~3メートルほどの
外からは分からない 円状に開けた場所で
秘密基地にするには もってこいの場所だった
昔から その林には何度も遊びに来ているが
その場所には 気付かなかった
そこに何かあるわけではないのだ
広すぎず狭すぎず 暗くも明るくも無く
うまく言えないのだが 落ち着ける場所なのに
なんだか 胸躍るような感じなのだ
とても居心地が良くて 気に入ってしまった
寝っ転がって どんな秘密基地を作ろうか
ワクワクしながら 想像した
一人きりで そこで過ごしていたのに
何故だか 楽しかった
日が暮れ始めたので 明日また出直すことにした
翌日 仲の良い友人とその場所に出かけたのだが
何度 探してもその場所が見つからないのだ
そんなに広い林ではない 探せないはずはない
道も間違えていないし 周りの景色も同じだ
なのに絶対あるはずの場所がみつからないのだ
その後 何度も探しに出かけたのだが
結局 見つけることは出来なかった
子供の頃の そのおかしな思い出話を嫁に話すと
「私も子供の頃にあった あった」と
嫁が目を輝かせながら言った
やはり その場所は二度と見つからなかったらしい
僕だけの思い込み話しではなかったようだ
それにしても なんとも不思議だ
どうして同じ場所が 見つからなかったのだろうか?
居心地の良かった秘密のあの場所は
そもそも本当にあったのだろうか?
それとも 子供にしか見つけることのできない
時の隙間のような場所だったのだろうか
今でもまだ あの林の奥にあって
子供達に見つかるのを 待っているのかもしれない
大人になった今でも また行ってみたい気がする
でもそれは かなわぬ夢なのだろう
なぜならそこは 子供だけに許された
たった一度っきりの 秘密の場所なのだから
Posted by ★ニヌファ at 17:32│Comments(0)
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